式年造替の本義と
若宮御造替
Nara Kasugataisha Shrine
「常日頃から、大神様から頂いておりますお恵みに感謝すること」その御恩に対して誠心誠意こころを尽くして執り行うのがお祭りです。
春日大社で1年365日、2,200回以上のお祭りを斎行、国民の幸福と世界の平和をお祈りするご奉仕を申しあげておりますが、そうした祭典の中で20年に一度、定期的に執り行われる至高最上の祭典奉仕が「式年造替」です。普段のご奉仕ではできない御社殿の大修理と御調度品の調製、それに伴う諸儀式を執り行い、真心を尽くしてのご奉仕を行なって神様に御悦びいただく。そして、より守っていただくよう、そしてより御力を発揮していただくため、神職は美しく、清浄な御殿にて、更に心を込めて国家国民のために祈り、ご奉仕を重ねてゆくこと、これが神々への祈り、御造替の原点にあります。
20年に一度の式年造替へ
今次の若宮御造替へ多くの皆様に広くご奉賛のお力添えをお願い申しあげております。
若宮社の御創建
長承4(1135)年2月27日、御遷座の当日、京よりは鳥羽上皇の春日御幸があり、藤原忠通公やその父である前・太政大臣の藤原忠実公をはじめ百数十人が随従する錚々たる大行列で奈良に下向、国家安泰を願うに相応しい厳粛な儀式が執り行われました。
春日若宮おん祭
若宮社御創建の翌年となる保延2(1136)年、時の関白である藤原忠通公が、天下泰平、五穀豊穣、万民和楽を願い、若宮様を御祀りした儀式が「春日若宮おん祭」です。
この祭礼は大和一国を挙げて執り行われる大祭として約900年間、途絶えることなく毎年奉仕されています。御神前に奉納される数々の神事芸能は国の重要無形民俗文化財に指定され、現在でもこの祭礼には1,000人に及ぶ人々の参勤奉仕があり、加えて50頭もの馬が用意されるなど、日本を代表する祭礼として100,000人を超える参詣者で賑わいます。
そして、この祭礼の中心となる重要な役柄が「日使」です。おん祭を創始した関白・藤原忠通公がご奉仕のために大和に下向途中、にわかに差し障りがあり、供の楽人に自分の装束を着けさせ、その日の使いをさせたという故事に因み、若宮様の御神前で祝詞を奏上するという大変格式の高いお役目です。近年は、日本の経済界を代表する方々にご縁を得てご奉仕をいただいております。
燈籠の奉納
心を込めて…
若宮社のご神宝
しかしながら、長承4年以来、800年ほど若宮様の元に納められていた御神宝が昭和5年に国により撤下され、大変申し訳なく思ってまいりました。 今次は、当代最高水準の卓越した技能を有する人間国宝 桂盛仁氏と、奈良一刀彫師 太田佳男氏により「金鶴及銀樹枝」、「銀鶴及磯形」を復興し、令和4年10月28日の本殿遷座祭にて92年ぶりに若宮様の元にお戻しいたします。
当代最高の素晴らしい品を神様に捧げることは、究極の感謝の表現であり、この行いを通じて、神様の尊さを再認識することが出来、そして更には神様の御存在を次の世代の人々に伝えるという大切な願いが成就されることともなり、まさしく神様への祈りの原点がここにあります。
日本最古の個人祈願所
– 若宮神楽殿と社伝神楽 –
御本殿前には神楽殿が建てられ、御巫が常駐し、個々人それぞれの願い事を託した御巫神楽が奉納されました。
古来より、伊勢神宮など国家の安泰を祈願する神社は「私幣禁断」とされ、春日大社も同様に個人的な祈願は行われませんでしたが、この若宮社の神楽殿が人々の個人的な御祈願所として初めて御巫神楽が奉納されるようになり、それが大変な人気となりました。その神楽鈴の音は終日止まず、延々と若宮御社頭に鳴り響いたと記されています。
守り伝えてゆくために
ご奉賛のお願い
守り伝えてゆくために
– ご奉賛のお願い –
平成28年11月6日、多くの方々のご協力により春日大宮(春日大社御本社御本殿)が見事に竣工し、正遷宮が賑々しく執り行われましたが、同時進行で継続事業として境内外に鎮座される62社の摂社・末社の御修繕を順次執り行ってまいりました。
平成19年に始まった第60次御造替事業も佳境となり、愈々、摂社 若宮社の御造替を以て完遂となります。令和3年4月23日、御神霊を御遷し申しあげる「仮殿遷座祭」が厳粛に斎行され、令和4年10月28日の本殿遷座祭に向け、御本殿の御修繕、境内整備が着々と取り進められております。
120年ぶりに20年に一度の正式な形に戻る重要な第43次若宮式年造替、御本殿の御修繕・周辺の整備を始め、事業を推進・完遂を目指すにあたり200,000,000円という費用が見込まれています。
御本殿など文化財指定建造物には一部公費による補助が予定されておりますが、境内周辺整備、調度品類の調製、諸祭典の執行による御神徳高揚など多岐に亘り、神社予定経費を大幅に超えることとなります。
若宮御造替へのご質問、またご支援ご協力をご希望されます方は春日大社式年造替事務局へご連絡ください。折り返し担当よりご連絡させていただきます。
諸儀式のスケジュール
移殿御装束並清祓之儀
御仮殿を新調の装束で装い、お祓い申しあげます
一般でいう竣工祭にあたり、御本殿の完成を祝う儀式です
自宅で「前精進」そして参籠し「正精進」の潔斎期間に入ります
この日より神社に籠り正精進に入る奉仕神職のお祓いを行います
神山春日山より伐り出した大榊を一之鳥居に立てます
奉祝祭
奉賛者はじめ関係者を招き奉祝のお祭りが行われます
(午前・社伝神楽奉納、午後・後宴之舞楽奉納)
正遷宮を奉祝し数日にわたり数々の奉納行事が行われます
遷宮諸祭のため長く身心の清浄につとめてきた奉仕員は、この祝宴をもって常態に戻ります